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選手に手渡したウェッジ、成否は最初の1球で決まります

練習ラウンドに付き添う宮城氏。選手の表情で調子が分かるという

月曜から木曜まではトーナメント会場。金曜から日曜は工房にこもって選手たちのウェッジ製作に没頭する。それがシーズン中の一週間。宮城氏は実に多忙だ。 「僕が作ったウェッジを選手たちが、ただ使ってくれればいいというものではありません。使ってもらう限りは、常に最高のパフォーマンスを実現して欲しいのです。そのために週の前半はトーナメント会場で練習ラウンドに付き添い、選手たちの声に耳を傾けたり、調子をチェックしたりして、出来る限り多くのデータを集めます。中には要望があっても、なかなか言い出さない選手もいますが、プロはとても正直です。表情をみれば、何か要望があるなと分かります。そんな時には食事に誘って、本音を聞き出すこともあります」。
PRGR契約の選手でいえば、矢野東プロはオーソドックスな形状が好みで、僕のアドバイスを素直に受け入れてくれるタイプ。谷原秀人プロは、宮城氏が気づかない限り、自分からは遠慮して何もいわないタイプなのだそうだ。

ソールの研磨は0.何ミリ単位、0.何度単位の細かい作業だ

距離感や打ち出しの高さ、ボールのスピードやスピン量をはっきりとイメージできることを求められるのがウェッジ。ショットのイメージは選手によって違いがあるし、調子の波もある。そんなことから宮城氏への要望は多岐にわたる。といっても選手たちが口にするのは、「フェースがかぶって見える」、「開いて見える」といった漠然とした要望や、「こういう状況でこんなミスが出る」といった結果論。 「彼らは、どの部分をどう変えればいいのかが具体的にはあまり分かっていないから、コミュニケーションを図って、それを見つけ出してあげるのです。週の後半は自分の工房に戻り、選手たちの要望に基づいたウェッジ作りに励みます。バウンスでいえば、0.何度、ソールでいえば、0.何ミリの細かい作業です」。

そうやって細心の注意を払いながら1本1本丹念に作り上げたウェッジが選手に手渡される。選手は早速試打をするが、「最初の1球ですべてが決まる」と宮城氏は語る。 「最初の1球は自分の本来のスイングでショットをする。それで結果がよければOK。しかし違和感があれば、彼らは器用だからクラブにスイングを合わせようとします。でも試合では大きなプレッシャーがかかるので、そんなクラブではいい結果は残せません。本人が自分本来のスイングで、どれだけ気持ちよくプレーできるか。それが大切なのです。だから試打をしてもらうまでは、クラブのどこを変えたかは説明もしません。あれこれ考えず、自然にボールを打ってもらうためです」。

愛用の研磨機がプロの要望を満たすウェッジを作り出す

選手たちに気持ちよくプレーしてもらうために、宮城氏にはひとつ心がけていることがあるという。それが試打の結果がよかった選手や、今使っているMTIウェッジに満足している選手からのオーダーに対する対応。調子のいい選手から「スペアのクラブを作って欲しい」というオーダーがあった場合、あえてすぐには作らないのが宮城氏のやり方だ。

「ウェッジのソールは3次元なので全く同じものを作るのは難しい。形状やスペックのちょっとした違いを選手が感じて、それが原因で調子を崩す可能性があるからです。それよりも、気になるのは調子の悪い選手。もちろんシーズン中に打ち方を変えることは出来ませんから、どういう状況でどんなミスが出るのかを確認しながら、その時のスイングで最良の結果をもたらしてくれるクラブを提供します。それまで使っていたのと全く逆のスペックを作ったこともありますし、中にはMTIウェッジのタイプSを使っていた選手に、タイプDを渡したケースもあります。クラブを受け取る際、最初は半信半疑の選手もいますが、ボールを1球打っただけで結果のよさに納得してくれます」。

(つづく)



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