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−−50歳を過ぎてから初めてゴルフを好きになった? では、それまでは嫌いだったのですか?
尾崎
「嫌いだったというわけじゃないけど、自分の気性には合わなかった。なにしろ僕にとってのスポーツの原点といえば野球だったわけで、野球といえば絶対に抑えてやる、とか、打たせないぞ、といった調子で闘争心むき出しで戦うものだった。ゴルフでも、ティーショットでアドバンテージをとったら、それがもううれしくて2打目地点に早くいって、早く打ちたい気分に駆られる。それこそ300ヤード飛ばしたら、気持ちは、もうバーディーをとるっきゃないというところにいっている。歩いている時間がまどろっこしいのよ」

−−そうは言いますが、野球だって、イニング交代があるでしょう。マウンドからベンチに戻って自軍の攻撃になる
尾崎
「ピッチャーにとってのベンチにいる時間は、体を休めるためのもの。ゴルフは、次の地点にいくまで、何をすればいいのか。この時間を上手く使えなかった」
−−考えたり、気持ちをリラックスさせて再び集中させるための時間じゃないのですか?
尾崎
「考える? それがダメだった。いい調子でプレーしていても、何か考えようとすると、悪いことが先に浮かんできてしまう。例えば、こんな調子が最後まで続くはずがない。どこかに落とし穴が待ち構えているんじゃないか、とか、突然ショットが曲がりだすんじゃないか…とかね。プロになると、悪い結果、予兆を考えるようになる。だから、考える時間なんて短くていい。一気に突っ走りたいわけ。ずっと自分の気性には合わないと感じてきたから、プレーが終わったらさっさとゴルフ場から離れたかったね」
−−それが好きになったというのは?
尾崎
「ボールまで歩いていく時間が、おっくうではなくなった。ギャラリーを見渡したり、キャディーとたわいもない話をしたり、ただ空を見上げたりして、さりげなく時間を埋められるようになった。雨の中でのプレーや暑さも苦にならなくなったね。来年の夏は(ツアー会場で)プレーできないかもしれないからなあ…せっかくチャンスを与えられているのだから、プレーしないなんてもったいない。そんなふうに感じるようになると、ゴルフ場から去りがたくなってくるから不思議だね。プレー後もキャディーに“ちょっとひと回りしてこようか”と、練習場に足を運んでボールを打ってみたり、若い選手に声をかけたり、練習グリーンでボールを転がしてみたり…昔の自分からしてみれば考えられない変わりようだね。これ、年齢を重ねたことからくる収穫かな」

−−逆に年齢的にハンデを感じるときってありますか?
尾崎
「技術的に自分の悪いところ、悪かったところがわかる。でも、体力的に修正しきれなくなってくる。知識は増え、判断力や分析力は高まっても、体がいうことをきいてくれない。これが、ちょっとつらいところだね。でも、そういう自分を受け入れるというか認める分別みたいなものも、自然に身についてきた。例えば、僕は自分の最大の持ち味は球際の強さだと思っている。その強さをショットに100%注入したいけど、残念ながら90%までしか入れられなくなった。マイナスの10%は、何で補うか。結果に保険をかけるようにするんだ」
−−結果に保険?
尾崎
「例えばグリーンの左サイドに立っているピンを狙ってのショット。ピンを直接狙いたいところなんだけど、左にはずしたら次のアプローチショットが難しくなる。そこで、ピン右5メートルぐらいを狙って打っていく。これが保険をかけた狙い方。今の自分にできるのは、ここまで。そうわきまえて組み立てていくようになったし、そうせざるを得なくなった。最高のものを出し続けたいけど、それができなくなったもどかしさはあるけど、やっぱり現状を認識しないと、ツアーで戦えない」
−−なるほど…。では、次回は、ツアーで目指す戦い方について聞かせてください。(つづく)

