PRGR DESIGN PUTTER
COLUMN
04

SOLID & MILD しっくりくる打感の正体。

さて、今回はかつて「ゴルフは物理だ」というコピーを用いたほど、科学的検証と原理原則にこだわってきたプロギアらしい製品開発のアプローチについて紹介してみたいと思います。PRGR DESIGN PUTTERにおける新提案「SOLID」と「MILD」のフェース加工が実際にどのような違いをもたらすのかについて多角的に検証したものになります。打てば打感・打音に明確な違いがあるけれど、実際それってどれほどの違いで転がりに影響しているのか? 知らなければ、自在に操る(デザインし提案する)ことができない、私たちはそう考えています。

ボールとの接触面積比較・インパクト音解析・転がりの変化を探る

「SOLID」と「MILD」のフェース状態による変化を検証するために開発チームは独自のテスト環境を整えました。

パターロボット

常に一定のインパクトを実現するために振り子式のパッティングロボットにパターを装着し、様々なデータ採取を行いました。

RED EYES IMPACT

インパクト直後のボール初速、バックスピン量をPRGRオリジナルの初期弾道測定器RED EYES IMPACTで測定しました。

RBB02 TEST BALL

計測には初期弾道測定器(RED EYES IMPACT)用のコースボールを使用。

360°集音マイク

タイヤの開発時にロードノイズを集音する際にも使用する人型マイクで打球音を採取。より実際の「聴こえる」に近いインパクト音で比較を行いました。

水平なフィールドとスクエアインパクト

転がりの違いを明確にするためにフィールドの水平性を確保。フェースの向きもレーザーを使ってよりスクエアな状態で比較します。

接触面積の比較

打球面に高感度の感圧シートを貼り、打球痕を可視化しました。


テスト結果①/打球痕

SOLID

パッティングマシンで一球打った時の「SOLID」フェースの打球痕です。ディンプルの配列も鮮明で接触面積が大きいことがわかります。

MILD

「MILD」フェースではボール表面との接触面が点となるため打球痕もやや不鮮明となりました。「SOLID」に比べると接触面積は小さいと言えます。


テスト結果②/打球音

SOLID

インパクト音の中心となる周波数帯(1.6khz)付近でSOLIDはより強く、長く音が響いていることがわかります。

MILD

同じ周波数帯(1.6khz)付近で比較するとMILDは音が小さく、残響も短いことがわかります。


テスト結果③/打球データ

SOLID

ボールスピード(m/s) 打ち出し角 上下(度) 打ち出し角 左右(度) トータル(Yard) 左右ブレ(Yard) 実測距離(m)
1 3.877 0.366 -0.704 8.241 -0.086 7.705
2 3.996 0.625 0.033 8.581 0.025 7.991
3 3.964 0.356 0.358 8.513 0.072 7.910
4 3.99 0.571 0.719 8.568 0.127 7.948
5 3.944 0.321 -0.376 8.449 -0.037 7.843
AVG 3.954 0.448 0.006 8.470 0.020 7.879
STD 0.048 0.139 0.566 0.138 0.085 0.112

MILD

ボールスピード(m/s) 打ち出し角 上下(度) 打ち出し角 左右(度) トータル(Yard) 左右ブレ(Yard) 実測距離(m)
1 3.944 0.096 1.116 8.401 0.181 7.705
2 3.886 -0.253 -0.96 8.26 -0.123 7.547
3 3.967 0.089 0.069 8.519 0.029 7.678
4 3.944 0.154 0.894 8.401 0.148 7.878
5 3.903 0.486 -0.1 8.363 0.002 7.966
AVG 3.929 0.114 0.204 8.389 0.047 7.755
STD 0.033 0.262 0.833 0.093 0.122 0.167

SOLIDで打った時の方が若干ボール初速が速いため、約8メートルの距離では10 センチほど転がる距離に違いが出ました。今回のテストではSOLIDとMILDでは、SOLIDの方がやや転がるという結果を示しています。


まとめ

ここでご紹介したようにプレーヤーが打って感じているSOLIDとMILDの違いは、多角的な検証を試みても明らかで、フェースデザインのバリエーションが確実にパター選びの「選択肢」「拠り所」となることが証明できたと考えています。これまでのパター開発であれば、打球データを根拠にSOLIDを「もうひと伸びがある」新しいフェースデザインとしてPRしようと考えたかもしれません。でも、PRGR DESIGN PUTTERは違います。あくまでも、プレーヤーにとってどちらが心地よく、イメージした距離を打ち分けることができるのか? それがバリエーションが存在する意味なのです。フェースの状態をこうすれば、こうなるという実験で得られた原理原則もプレーヤーというフィルターを通すと逆の結果となることがヒューマンテストによってわかっています。例えばSOLIDではイメージよりも音が大きく、強く打ってしまった感覚になるプレーヤーの場合は、2球目以降は弱めに打つ傾向があり、この場合、打音がソフトでしっかり打てるMILDの方が転がりがいい(よく転がる)と判断されることがあるのです。距離感・タッチを主導するのはプレーヤーということです。

では、あなたの「しっくり」をデザインするのは、どちらのフェースパターンでしょうか。ぜひ打ち比べ、感想をお聞かせください。