第13話 『理想の弾道を追い求めて。』LSドライバー開発編①

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PRGRのクラブにまつわる過去や、新製品開発に奮闘するスタッフの現在、そして新しいクラブを世の中に生み出す未来を紹介していくノンフィクション、PRGRクラブ開発物語、通称ギアスト!多くのアマチュアゴルファーの悩みを解消すべく、創業以来、研究開発を続けてきたプロギア。

今まで画期的な長尺カーボンドライバーや、やさしさと飛距離を追及したカーボンヘッドのロングアイアン。複合構造のドライバー、従来より2番手飛ぶ非常識なアイアンなど、アマチュアゴルファーを救うために独自のクラブを開発してきましたが、ゴルファーの悩みはまだまだ解消されません。それがゴルフの楽しさなのかもしれませんが、PRGR開発スタッフは常にその課題に挑戦し続けています。

さて、今回より新章に突入し、新たなクラブ開発に挑む現代のスタッフの姿をお届けしてまいりたいと思います。

 

飛距離への徹底追求

飛距離アップはアマチュアゴルファーの夢。開発スタッフとしても永遠の課題です。

この課題を実現するため、PRGRは創業以来様々なチャレンジをしてきました。ヘッドスピードのアップとボール初速のアップ、そして高打ち出し、低スピンの最適弾道の実現。その中でもゴルフルールの限界に挑んだ、”ギリギリ”のRSドライバー(2016年)は、当時のPRGRのドライバー開発の最終回答のひとつでした。

類まれな初速性能により、測定結果も上々。発売後にはその飛距離性能から大きな反響を呼び、”ギリギリ”RSドライバーは飛ぶドライバーの代名詞となりました。

だが、中にはこんな声も

 

とあるシングルゴルファー 『試打計測データは良かったのに、コースだと思ったより飛ばないんだよね~。ホームコースの180ヤードの木に当たっちゃうんだよ。』

 

飛ぶドライバーが飛ばないゴルファーへ

ゴルフキャリアが長くスイングの完成度もミート率も高く、クラブの性能を最大限に生かしているはずなのに、思ったより飛距離が伸びないと悩むシングルゴルファー。開発メンバーはそんなゴルファーの心の叫びを耳にします。

ルールギリギリの初速性能と最適弾道を実現しながら、それでも飛距離アップを実現できていないゴルファーとはどのようなゴルファーなのか?

企画チームはそのようなゴルファーへヒアリングを行うとともに、PRGR直営店のサイエンスフィット計測データやPRGR弾道解析器【RED EYES ROBO】を設置いただいている全国のゴルフショップのショットデータを集約し原因究明を続けます。

※PRGR初期弾道測定器 RED EYES ROBO2

※数万人にのぼるRED EYES ROBOの年別飛距離計測データ(イメージ)

膨大な弾道データを集計し解析すると、RSドライバーの飛距離性能を発揮できていないゴルファーは、ヘッドスピード43m/s以上のゴルファーより、ヘッドスピード40m/s以下のゴルファーに多い様です。ただしデータだけでは見えてこないことは沢山あるので、企画開発スタッフは実際に様々なゴルファーとテストラウンドをおこないます。

ゴルファーAさん 『190ヤードのバンカーが超えなーい!』

 

苦しむゴルファーの声。すると、企画スタッフはあることに気付きます。

 

企画スタッフ 『同じヘッドスピード40m/sで測定画面上では飛距離が変わらないゴルファーでも、実際のゴルフ場だと飛距離に大きな差が生まれている。この差は何だろう。』

 

早速この、RSドライバーで飛ぶ人、飛ばない人、2名の弾道データを解析してみると、ヘッドスピードとボール初速は同じ。そしてシミュレーション画面上ではトータル距離もほぼ同じでした。ではゴルフ場での飛距離の差は何だったのでしょう。

その差は、

 

企画スタッフ 『打ち出し角度か!?』

 

両者の弾道の違いは、打ち出し角度とキャリーの飛距離でした。

打ち出し角の低いAさんの場合、実際のコース上では十分なキャリーを得られず、バンカーや木につかまってしまってリアルな飛距離は200ヤード程となることが多く、打ち出し角度の高いBさんより平均で20ヤード近く離されていたのです。ヘッドスピード40m/sの日本の一般的なゴルファーの飛距離を伸ばす鍵は、ボールの打ち出し角にありそうです。

 

100の会議より1回のテスト

新たな開発テーマを得て、企画開発チームはボールスピード別の理想的な打ち出し角を探すべくフィールドテストを行います。

茨城県 横浜ゴム茨城工場

PRGRの広大なテストフィールドに散らばる無数のボール。このボールは、

 

小さな建屋の中からひっきりなしに飛ばされて来たものです。

そのボールを発射しているのがこの機械。

これはボールスピード、発射角度、バックスピン量などを設定し、様々な種類の弾道を射出することができる”ランチャー・マシン”です。

このマシンであらゆる条件の弾道をフィールドに放ち、その一球一球のキャリー、ランを計測して理想の弾道条件を探し出します。

※落下してきたボールに駆け寄って飛距離計測するスタッフ。完全に体力勝負です

さらに、ロボットを使って最適弾道の再現を試みます。

何千回にも及ぶテストと計測を繰り返し、開発チームは答えを探し続けます。その結果。

 

企画スタッフ 『ヘッドスピード40m/sのゴルファーがさらに飛ばせる弾道は、、、これだ!』

 

理想の弾道を追い求める

こうして過去の検証データも加えた何万球もの弾道データ、テストデータを集計し、ボール初速、打ち出し角度、バックスピン量と飛距離の関係を表したコンター図、通称”飛距離マップ”を完成させました。一般的にドライバーの最適弾道と呼ばれる打ち出し角15度、バックスピン量2500回転は、実際にはヘッドスピード43~45m/sのゴルファーに当てはまるものだということがわかりました。

そしてその条件はヘッドスピード40m/s以下のゴルファーにとっては最適では無く、より理想的な弾道は別にありました。それがこちらです。

 

開発スタッフ 『打ち出し角18度、バックスピン2000回転がヘッドスピード40m/sのゴルファーの理想弾道だ!』

 

たしかに実際にこの条件で打ち出されたボールは、キャリーが伸び、落下角度もなだらかでランも多く出て、トータルでプラス10ヤードを可能にしました。

ハードヒッターのようなボール初速が無くとも、高く、強く、伸びる弾道を実現できる打ち出し角とスピン量。この弾道条件を目指し、新しいドライバー開発に着手します。

しかし。

 

神奈川県 横浜ゴム平塚製造所 PRGR事業所

 

 

開発スタッフ 『無理です。打ち出し角18度を達成するにはロフトを寝かし、重心を極限まで深くして、シャフトを大きくしならせないと不可能です。でもそれだと比例してスピン量が増加してしまいます。』

 

普段は笑顔の開発スタッフも、さすがに難しい課題に表情が固まっています。

打ち出し角度を上げればスピン量が増え、スピン量を減らすとヘッドスピード40m/sのゴルファーは球が上がらない。この相反する現象をいかにクリアするか。過去、様々な挑戦を繰り返してきたPRGR開発スタッフもこの難題に頭を抱えています。

日本のゴルファーの大部分を占めるヘッドスピード40m/sのゴルファーのために、日本のクラブメーカーが真剣に向き合います。

果たして理想弾道は手に入れられるのか?開発チームの挑戦はまだ始まったばかりです。

 

つづく

 

*記事中の写真は一部イメージです

コメント

  1. ヤジキン より:

    ヘッドスピード40m/s以下
    キャリー200前後
    正に私です。
    新しい発想のクラブ開発
    また期待して待ちます!

    1. prgr より:

      ヤジキンさん
      コメントありがとうございます!どうぞご期待くださいませ。開発チームが取り組んできた答えがもう少しで発表できそうです(^_^)

  2. カズさん より:

    新たな展開ですね。

    1. prgr より:

      カズさんさん
      コメントありがとうございます!昔話はここらへんにして、新たな展開で今お悩みのゴルファーのためのクラブ開発をご紹介していきます(^_^)

  3. K島 より:

    プロギア さん!お願いです!
    作ってください‼️
    ワンレングスアイアン‼️

    1. prgr より:

      K島さん
      コメントありがとうございます!ワンレングスアイアンいいですね!!開発チームは実際に10年前くらいから研究しているようです。その答えをぜひお楽しみに(^_^)

  4. でこぽん より:

    HS40と45で異なる弾道を要求されるのに、どちらのゴルファーでも使えるドライバーが作れるのでしょうか・・・

    1. prgr より:

      でこぽんさん
      コメントありがとうございます!まさに仰るとおりです。ヘッドスピード45m/sと40m/sのゴルファーでは理想の弾道条件が異なりますので、今回のドライバーは『ヘッドスピード40m/s前後のゴルファー』に最適な弾道が得られるクラブとして開発しております。なのでヘッドスピード45m/s以上のゴルファーの方には思うような弾道を得られないかもしれません(^_^)

  5. Nさんファン より:

    こちらには初めてコメントさせていただきます。
    サイエンスフィットスクールに興味を持ち、通い出してから、自分のバックにもPRGRのクラブもどんどん増えてます。こちらで、それらの生い立ちが分かると、さらに愛着がわくし、これから出てくるクラブにも期待してしまいます‼️カッコ良くて色々助けてくれるクラブ開発、よろしくお願いします‼️

    1. prgr より:

      Nさんファンさん
      (こちらでの)初コメントありがとうございます!PRGRサイエンスフィットのご利用とPRGRクラブのご使用ありがとうございます!サイエンスフィットスクールでの多くのゴルファーの(個人を特定しない)ショットデータが、未来の製品開発に役立っております。ご協力ありがとうございます(^_^)

  6. てらぱん より:

    こんにちは。こちらの昔話に触発されて、このところDATA601アイアンを引っ張り出して使ってます。だけど、アイアンにしてもドライバーにしても最新の研究成果を使ってみたいというのが本音です。
    今回のドライバーの発表も楽しみにしています。

    1. prgr より:

      てらぱんさん
      コメントありがとうございます!DATA601、いいですね!いまだにファンが多い名器です。最新のクラブにも昔のモデルの知見や技術が存分に生きていますので、ぜひご期待くださいませ(^_^)

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