第15話 『ギリギリ設計で最大の飛びを!』LSドライバー開発編③

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PRGRのクラブにまつわる過去や、新製品開発に奮闘するスタッフの現在、そして新しいクラブを世の中に生み出す未来を紹介していくノンフィクション、PRGRクラブ開発物語、通称ギアスト!

日本人にとって平均的な、ヘッドスピード40m/sのゴルファーが最大飛距離を出せるドライバーの開発に取り掛かるPRGR開発チーム。理想的な弾道条件”打ち出し角18度、バックスピン2000回転”を達成させる、”地下室ソール”を搭載した試作ドライバーの開発に成功しました。

いよいよ本格的な製品化に向けて動き出しますが、次なる課題が待ち受けています。

 

ギリギリPRGR

神奈川県平塚市 横浜ゴム平塚製造所 PRGR事業所

プロギアの開発チームが日々研究を重ねるこの施設。ここで新たなる課題に取り組む開発スタッフ。

彼らが取り組んでいるのは、試作ドライバーの初速性能のアップです。

常にギリギリに挑戦するPRGRのクラブ開発ですが、2016年にはRS Fドライバーが反発ルールの制限を超えてしまうという痛恨の出来事があり、大きなダメージを負いました。

第10話 『GIRIGIRIへの挑戦と失敗!RS登場。』

が、この事件を反省し、教訓にするとともに、さらなるギリギリに挑戦するのがPRGRの開発チームの流儀です。

そうして研究開発を進め、”ギリギリ”を貪欲に追求したRS5シリーズドライバー(2020年)は、さらにギリギリの高初速と広い高初速エリアを獲得し、その飛距離性能を確固たるものにしました。

ヘッドスピードのあるアスリートゴルファーに向けた”RS5シリーズドライバーはディープフェース形状による初速アップを可能にしましたが、開発中のドライバーは”ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーに向けた”もの。ディープフェースでは球が上がりづらいため、シャローフェース形状となっています。

 

開発スタッフ 『シャローフェースだと狙った初速が出ない・・・』

フェース面積は、大きくて円状に近いほうがフェースのたわみが拡大して反発を得られやすくなるため、初速アップを狙うならディープフェースの方が有利です。シャローフェースで球の上がりやすさを確保しながら、ルールギリギリまで初速性能を追い込むという難題に開発スタッフは挑み続けます。

 

ギリギリの高品質管理

ちなみに開発現場に置かれた不思議な樹脂性の物体。

これが何かと尋ねると、

 

開発スタッフ 『”ギリギリ”測定器のヘッド固定台です。』

反発ルールを越えた事件の直後、二度と同じ過ちを犯さないために開発したPRGRオリジナルの『簡易CT測定器』

謎の物体は、これにヘッドをセットして測定時に固定するための台座でした。

少しでもヘッドがずれたり動いたりすると正確なCT値(反発)の測定ができないため、ヘッドの形状ごとにぴったり固定できるように設計し3Dプリンターで製作しているのです。

こうして高初速性能を求めて設計と試作、そしてCT計測をひたすら繰り返す開発スタッフ。

ルールギリギリまで追い込む作業は決して派手なものではなく、その成果は妥協せず忍耐強く行う日々の延長にあるのです。

 

ギリギリ新ヘッドの誕生!

こうして開発を続けた結果、

遂に、ルールギリギリを達成するドライバーヘッドの開発に成功します。

※喜びを隠しきれない開発スタッフ

 

開発スタッフが手にする構造サンプルヘッド。フェース面では無く、フェースの周囲でパーツが分けられています。

フェース面で溶接すると、溶接した部分が肉厚になり反発エリアを拡大することができません。もともとディープフェースよりもシャローフェースはフェース面積が小さいので、フェースの外周部分で溶接することにより、ディープフェースと同様の反発性能と反発エリアを確保することができたのです。

 

※インパクトでのフェースの変形を10倍に拡大したシミュレーション

さらに、よく見るとフェース面には細かい筋のようなものが見えます。

これは、何でしょう?

 

ギリギリと安定。

 

開発スタッフ 『CNCミルド加工をフェース表面に施しました。』

CNCミルド加工とは、RSドライバーにも採用したコンピュータ制御によるフェースの削り出し加工のことです。従来は人の手による研磨でフェースの肉厚を調整していたものを、コンピュータ制御による機械加工を行うことで、精度を高めるとともに製品の均一化を図ることができる製法です。

従来の製法よりコストや時間はかかりますが、ルールギリギリの初速性能とともに絶対にルールを越えないように高い精度を追い求めた結果、開発中のドライバーにもこの加工を施すこととしたのです。

でもRSドライバーではフェースの裏面にCNCミルド加工をしていたのに、今回はなぜ表面に加工を施したのでしょう?

 

開発スタッフ 『スピンを安定させるためです。』

打ち出し角を上げて、スピンを減らすための”地下室ソール”を搭載した開発中のドライバーでラウンドテストをすると、たまにボールが吹き上がる現象が起こっていました。

この原因を調査し、スピン量が安定していないことを確認した開発スタッフは、フェース表面に微細な加工目を付ける事によりスピンを安定させることに成功しました。実はルールギリギリの初速アップとスピン量の安定という2つの課題を実現させるために、フェースの開発に取り組んでいたのでした。

 

こうしてルールギリギリの高初速というPRGRの標準性能に、高打ち出し・低スピンの理想弾道を加えた、ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーの最大飛距離を実現できるドライバーが完成しました。ただしこれはサンプルモデルとしての完成であり、ゴルファーの心を躍らせる製品化に向けてはまだまだ未完成。引き続き道は続くのです。

 

つづく

 

*記事中の写真は一部イメージです

コメント

  1. カズさん より:

    先が気になります。

    1. prgr より:

      カズさんさん
      コメントありがとうございます!この先の更なる難題を乗り越え、、、新しいクラブが誕生いたします。お楽しみに(^_^)

  2. K島 より:

    超〜!! 気になります‼️

    1. prgr より:

      K島さん
      コメントありがとうございます!超~!!気になっていただきありがとうございます。もうちょっとで発表できると思います(^_^)

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